子どもや保護者対応

【実は逆効果】優しくしすぎると逆に苦しくなる?グレーゾーンの子に必要な“枠”の話

こんにちは、ねこまるです。
小学校で発達障害児や特別支援学級児童の支援員をしています。

「グレーゾーン」の子どもたちと接していると、
「もっと優しくしてあげなきゃ」
「寄り添っていればきっと伝わるはず」
そう思うこと、ありませんか?

私自身も、かつてはそう考えていました。
でも実は、グレーゾーンの子どもにとって、
優しすぎる接し方が、かえって不安定さを引き起こしてしまうことがあるのです。

グレーゾーンの子どもたちは、「自由でいいよ」と言われると、逆にどうしていいかわからず戸惑ったり、安心できるはずの教室でますます不安を強くしてしまうことがあります。

この記事では、

なぜ「優しすぎる接し方」が逆効果になるのか?

本当にグレーゾーンの子どもに必要な接し方とは何か?

そして、子どもを安心させるために欠かせない「枠」や「ルール」の作り方

について、わかりやすくお話ししていきます。

「グレーゾーンの子どもへの接し方」に悩んでいるあなたが、
明日から少しだけ心が軽く、そして自信を持って向き合えるように。
そんな気持ちを込めて書きました。

どうぞ最後まで、ゆっくり読んでみてくださいね。

 

Contents
  1. 1.なぜ「優しさ」だけではグレーゾーンの子どもを支えきれないのか?
  2. 2.実例で学ぶ|優しすぎた接し方が招いたトラブル集
  3. 3.グレーゾーンの子どもに必要なのは“枠”だった
  4. 4.教室でできる!安心できる“枠”づくり5つのコツ
  5. 5.支援する大人も「ブレない支援スタンス」を持とう
  6. 6.よくある質問Q&A|グレーゾーンの子どもへの接し方
  7. 7.まとめ|枠があるから、グレーゾーンの子どもは安心できる

1.なぜ「優しさ」だけではグレーゾーンの子どもを支えきれないのか?

グレーゾーンの子どもとは?特徴と接し方の難しさ

グレーゾーンとは、発達障害と診断されるほどではないが、行動や学習、社会性に特性を持つ子どもたちを指します。通常学級にも多く在籍しており、見た目では分かりづらいことが多いです。

では、なぜ私たちはグレーゾーンの子に対して、接し方が難しいと感じるのでしょうか。

それははこちら側が、こう動いてほしいという思いがあるからだと思います。

学校の先生だったらなおさらです。
今日の日課を見て、子どもたちを動かさなければなりません。
それは支援級の子に対しても難しいのですが、グレーゾーンの子と違うのは
支援級の子たちは少人数制ですし、動かなければいけない時にすぐに動くのが難しいという特性をある程度みな理解してくれています。

グレーゾーンの子は通常級にいることで、動かそうとすることが
なおさらのなおさら難しいと感じるわけです。

「自由にさせる=安心」ではない理由

優しく自由にさせることが、必ずしも子どもの安心につながるわけではありません。

私がそう感じたのは「発達障害児の支援員」をしていたある日の勤務中のことです。

通常学級の担任の先生がある時間を自由な時間として
「今日は何したい?」と子どもたちに聞いていました。
子どもたちはやったーと言って、
口々にやりたいことを言っていました。
そんな中、1人の児童が「そんなこと言われたってわかんねーんだよー!!」と
なかば暴言のように吐き捨てて、教室を飛び出していったことがありました。
私は支援員として、その子を追いかけていったのですが
見つけた時は、校舎の柱のすみに隠れるようにして頭をかかえ座り込んでいました。
とてもつらそうに見えました。

予測不能な状況は、グレーゾーンの子どもたちにとって不安の種になりがちだといいます。
その特性が顕著に表れた事例なのではないかと思います。

優しさだけが逆効果になる3つのパターン

  • 何でも「好きにしていいよ」と言われると、選択肢が多すぎて混乱する
  • ルールがあいまいだと、どう行動してよいかわからず不安が強まる
  • 「嫌ならやらなくていい」と言われ続けると、自己肯定感が下がる

2.実例で学ぶ|優しすぎた接し方が招いたトラブル集

「好きにしていいよ」で混乱して動けなくなった子ども

ある授業中、自由工作の時間に「好きに作っていいよ」と伝えたところ、グレーゾーンの子どもが何も始められず固まってしまいました。選択肢が多すぎると、逆に動けなくなってしまうのです。

「嫌ならやらなくていい」でチャレンジできなくなった子ども

体育の授業で「嫌だったら見学でもいいよ」と言った子どもが、その後どの活動にも「嫌だから」と言って消極的になってしまいました。チャレンジの機会を失わせてしまった例です。

ルールをあいまいにしてクラス全体が不安定になった事例

「細かいルールは決めないで、みんな自由にやろう」とした結果、グレーゾーンの子どもだけでなく、クラス全体が落ち着かなくなったケースもあります。秩序が崩れると、安心できる環境は維持できません。

3.グレーゾーンの子どもに必要なのは“枠”だった

「枠」は子どもを縛るものではない

枠やルールは、子どもたちを縛るためではなく、「ここまでなら大丈夫」という安心感を与えるために存在します。

予測可能な環境が子どもに安心感をもたらす仕組み

見通しを持たせることは、不安を減らし、行動を安定させる大きな助けになります。「次は何をするか」がわかるだけで、子どもの心は落ち着きます。

「できること」「できないこと」を明確にする意味

明確なルール設定は、子どもに「自分ができる範囲」を教え、無理な期待を背負わせず、成功体験を積み上げる基礎となります。

4.教室でできる!安心できる“枠”づくり5つのコツ

①「あと5分後にやろうね」時間を具体的に伝える

時間の見通しが持てると、子どもは心の準備ができます。「そろそろ」「そのうち」ではなく、「あと5分」「次のチャイムで」と具体的に伝えましょう。

②「次にやること」を必ず予告しておく

「今は算数、次は体育だよ」と事前に次の活動を伝えることで、子どもは心構えができ、移行がスムーズになります。

③「やること・休憩すること」をはっきり区切る

集中する時間とリラックスする時間を分けることで、頑張るべきときと休むときの切り替えがしやすくなります。

④「ゴール(終わり)」を常に示しておく

「これが終わったら休み時間」というように、終了の目安を伝えることで、子どもは先を見通せて安心します。

⑤できたらすぐに小さく承認する

小さな達成をすぐに認めることで、子どもは「次もがんばろう」と思えます。完璧を求めず、できた部分を見つけましょう。

5.支援する大人も「ブレない支援スタンス」を持とう

「かわいそう」と「助ける」は違う

過剰な同情は、子どもの成長機会を奪ってしまいます。「支える」という意識で、子どもを信じることが大切です。

優しさとルールのバランス感覚を育てる

子どもを思いやる気持ちと、成長のための枠を作る責任。この両方を意識しながら支援していく必要があります。

支援者自身も安心できる「行動指針」を作る

「私はこのルールを守って支援する」と自分の中でルールを持つことで、支援のブレを防ぎ、子どもにも一貫性を示せます。

6.よくある質問Q&A|グレーゾーンの子どもへの接し方

「厳しくしすぎるのは怖いです…どうすれば?」

厳しいかどうかより、「一貫しているか」「見通しがあるか」が大切です。罰を与えるのではなく、安心を与えるためのルールを心がけましょう。

「本人が嫌がったらどうしたらいい?」

嫌がる理由を丁寧に聴きながら、ルールの伝え方や内容を調整します。ただし、ルール自体は守る前提を崩さないことがポイントです。

「クラスメイトにはどう説明すれば?」

「みんな違っていい」「それぞれに合ったやり方がある」と伝えることが基本です。特別扱いではなく、個別最適な支援であると自然に共有していきましょう。


7.まとめ|枠があるから、グレーゾーンの子どもは安心できる

優しさだけに頼らない支援とは

本当の優しさは、子どもが安心してチャレンジできる枠を作ること。そのために大人が「見通し」と「予測可能性」をプレゼントしてあげるのです。

小さな枠づくりから始めてみよう

いきなり大きなルールを作る必要はありません。まずは今日、「あと5分後に始めるよ」と声をかける小さな一歩から始めましょう。

支援するあなた自身も、まず自分に優しく

支援は失敗の連続です。うまくいかなくても、あなたの頑張りはきっと子どもに伝わっています。自分に対しても「大丈夫」と声をかけてあげてくださいね。


この記事が、グレーゾーンの子どもとの接し方に悩むあなたの背中を、そっと押せる存在になりますように。

 

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最後まで読んでいただきありがとうございます。
他の記事も読んでいってくれたらうれしいです(=^・^=)