授業のコツ

クラスレクは必要か?|“しない選択”をして生まれた信頼関係

こんにちは。ねこまるです。人です。
小学校で特別支援学級児童の支援員をしながら
先生をサポートする仕事をしています。

「クラスレクをやったけど、なんだか盛り上がらなかった…」
「クラスの雰囲気が気になるけれど、クラスレクで解決できるのかな?」
「“楽しい時間”を用意しているはずなのに、子どもたちの反応がいまひとつ…」

——そんなモヤモヤを感じたことはありませんか?

この記事では、あえて「クラスレクをしない」という選択をした先生の実話をもとに、学級経営の本質について考えていきます。

もちろん、クラスレクは多くの場面で役立つ“関係づくり”の手段です。
ですが、「クラスレク=正解」と決めつけず、「やらないこと」によって築かれた信頼関係にも目を向けてみませんか?

「クラスレクって本当に必要?」という問いに悩むあなたにこそ届けたい内容です。
この記事を読み終えたとき、クラスレクに対するあなたの考え方が、少しやさしく、少し自由になっているかもしれません。

クラスレクに「違和感」を抱いた瞬間

新年度が始まり、学級開きの忙しさも少し落ち着いた5月。多くの先生たちが「そろそろクラスレクでもしようかな」と考え始める時期です。

私も、例外ではありませんでした。ところが、ある年の担任経験で「クラスレクは本当に必要なのか?」と考え直すきっかけがありました。

それは、「やっても盛り上がらないクラス」と出会ったときでした。

クラスレクをやっても、空気が冷めていた

レクレーションをやっても、子どもたちの反応が鈍い。楽しそうな様子も一部の子だけ。
進行する私も「空回りしている」感覚が拭えませんでした。

「盛り上げよう」「笑顔にしよう」とするほど、なぜか教室の空気は固まっていく。

どこかに違和感を覚えながらも、「レクをしないと学級がうまくいかない」と思い込んでいた自分がいました。

そこで私は一度、クラスレクをやめてみる決断をしました。

「しない」という選択肢に込めた思い

レクをやらない代わりに、私は次のような取り組みを始めました。

・毎日ひとこと日記で“気持ち”を共有する時間
・席替えではなく“関係替え”という工夫
・小さなトラブルを大切に拾い上げる「感情ノート」
・子どもと一対一で交わすミニ対話の時間
・朝の会で「昨日のうれしかったこと・困ったこと」を共有する習慣

レクの代わりに、子どもたちの“心”に触れる時間を意図的につくっていきました。

「レクをしないクラス」に起きた変化

はじめのうちは静かで、変化は目に見えませんでした。
しかし数週間が経つ頃、教室に少しずつ温かい空気が流れ始めました。

子どもたち同士が少しずつ声をかけ合うようになり、私への質問や相談も増えてきました。

“場を盛り上げる”よりも、“関係をていねいに紡ぐ”ことで、安心感と信頼感が生まれていったのです。

中には、「前より先生と話しやすくなった」と言ってくれる子もいました。

クラスレク=必要、という常識を見直す

もちろん、クラスレクが悪いわけではありません。

レクが効果的に働くクラスもたくさんあります。

ただ、「うまくいかない」「盛り上がらない」ことに罪悪感を持たなくてもいい、ということです。

  • 盛り上げるよりも、そっと寄り添うこと
  • 全員を無理に巻き込まない勇気
  • 静かな関係性を丁寧に見守る目

レクを“しない”ことで、これらの視点が自分の中に育ちました。

「静けさ=不安」ではなく、「静けさ=安心」の場合もあることに気づいたのです。

レクをしないことで得られたもの

1. 子どもとの“目線”が揃った

「先生、無理してない?」とある子に言われたことがありました。
その一言で、私はレクを「先生のため」にやっていたのだと気づいたのです。

「楽しませなきゃ」「盛り上げなきゃ」という気負いは、実は子どもたちにも伝わっていたのかもしれません。

2. トラブルの原因が見えた

静かな時間を持つことで、トラブルの根底にある“不安”や“孤立”が見えてきました。

たとえば、ふざけてばかりいた子が実は「輪に入りたいのに入れない」不安を抱えていたことも。

3. 子どもたちの関係性が変わった

盛り上がりよりも、“一緒に過ごす空気”を共有できるようになったのです。

声の大きな子だけでなく、声の小さな子も自然に存在できる雰囲気が教室に広がっていきました。

それでもやっぱり「クラスレクをしたい」ときは?

レクは“楽しむこと”が目的ではなく、“関係性を深める手段”です。
だからこそ、次の視点を持つことが大切です。

  • 誰かが「しんどい」と感じていないか?
  • 無理に全員を巻き込もうとしていないか?
  • 「レクのためのレク」になっていないか?

こうした問いを持つだけで、レクはもっと意味のある時間になります。

子どもたちの“気持ちのバリア”を取り除けるレクこそ、真に効果的なクラスレクです。

おわりに:正解のない学級経営において

クラスレクを“しない”という選択をしたあの年。
私は、それまでの「当たり前」を一度手放してみたことで、学級経営において本当に大切にしたいものが見えてきました。

子どもたちとの信頼関係は、特別なイベントや盛り上がるレクではなく、静かな対話さりげないやりとり「大丈夫?」のひと言のような、小さな積み重ねの中で育まれていったのです。

たとえば、朝の会での何気ない一言が、その子の1日の調子を変えることがあります。
帰りの会で「今日ありがとう」と伝えるだけで、関係がひとつ前に進むこともあります。
そうした“目立たない時間”の尊さに気づけたのは、「レクをしない」という選択肢を通じてでした。

学級経営に「これが正解!」という道筋はありません。

だからこそ、「今、このクラスに本当に必要なものは何だろう?」と自分に問い続ける姿勢こそが、教師としてのプロフェッショナリズムだと思うのです。

レクを“する”ことも、“しない”ことも、どちらが正しいということではなく、「なぜそうしたのか」という“意図”を持てるかどうか。それが、子どもたちに伝わる“温度”を決めていきます。

「クラスレクは必要か?」

その問いに、完璧な正解はありません。
でも、その答えが変わる柔軟さと、その都度クラスと向き合おうとする誠実さを持っていれば、どんな選択も、きっと子どもたちにとって意味ある時間になります。

あなたの選択は、きっと大丈夫です。

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